第69章 前回のように治療できる?

有岡里穂は手元の書類をあっさり置くと、椅子を手前に引き寄せた。上体を半分ほど傾け、阿部蓮太郎のほうへそっと身を寄せる。

「……ここ?」

ひんやりした指先が、また阿部蓮太郎の額に触れる。いつまで経っても彼が口を開かないので、女は眉根を寄せ、声に不安を滲ませた。

「……すごく痛いの?」

伏せた視線が、そのまま彼の視線とぶつかる。

白と黒のくっきりした瞳に真正面から捉えられた瞬間、阿部蓮太郎は息を呑んだ。だがすぐに平静を装い、淡々と答える。

「……ああ。痛い」

里穂の意識は、彼の症状だけに向いている。その一言で、心臓がすとんと沈んだ。

嫌な予感ほど当たる。薬の効きは目に見えて落ちて...

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